にんにく専門情報

出典:書籍|Plant-Based Therapeutics, Volume 3: Allium sativum (Garlic)|植物由来治療薬、第3巻 ねぎ(ニンニク)

DATSの**免疫原性細胞死(Immunogenic Cell Death: ICD)**について、わかりやすく解説

一言で言うと、**「がん細胞が死ぬ際に、自ら『私は敵だ!』という目印(旗)を掲げて死ぬことで、警察役である免疫細胞(T細胞など)を呼び寄せ、他のがん細胞への攻撃も促す」**という特殊な死に方です。
通常、細胞がひっそりと死ぬ(アポトーシス)のとは異なり、免疫システムを「本気モード」に切り替えるスイッチが入るのが最大の特徴です。

1. なぜ「免疫原性」と呼ばれるのか?

通常、私たちの体内で古い細胞が死ぬとき(通常のアポトーシス)は、免疫系を刺激せずに静かに掃除されます。これを「免疫沈黙(Immunologically Silent)」な死と呼びます。
しかし、**免疫原性細胞死(ICD)では、がん細胞が死ぬ過程で特定のシグナル物質を放出・提示します。これが免疫細胞にとっての「警報」となり、「ここで敵が死んだぞ! 他にも同じ敵がいるかもしれないから探して攻撃しろ!」**という指令が出されます。
結果として、死んだがん細胞が一種の**「がんワクチン」**のような役割を果たし、生き残っている他のがん細胞に対する攻撃力が劇的に高まります。

2. DATSが引き起こす「目印(Eat Meシグナル)」の正体

書籍『Plant-Based Therapeutics』で強調されているDATSの作用メカニズムは、このICDのプロセスにおいて非常に重要な役割を果たしています。
具体的には、以下の3つのステップで免疫を活性化させます。

  1. 「私を食べて!」シグナル(Eat Me Signal)
    • 主役: カルレティキュリン (Calreticulin: CRT)
    • DATSの作用: DATSは、通常は細胞の内部(小胞体)に隠れている「カルレティキュリン」というタンパク質を、がん細胞の表面(膜の外側)に強制的に移動させます。
    • 結果: 免疫の司令塔である「樹状細胞」は、このカルレティキュリンを目印にしてがん細胞を見つけ、バクッと食べます(貪食)。これが免疫攻撃のスタート合図になります。
    • 書籍ではこの「CRTの表面露出」がDATSの重要なメカニズムとして挙げられています。
  2. 「私を見つけて!」シグナル(Find Me Signal)
    • 主役: ATP(アデノシン三リン酸)
    • 死に行くがん細胞からATPが細胞外へ放出されます。これが「誘引物質」となり、遠くにいる免疫細胞を現場におびき寄せます。
  3. 「危険だぞ!」シグナル(Danger Signal)
    • 主役: HMGB1(タンパク質の一種)
    • 核の中にあったHMGB1が細胞外に漏れ出し、免疫細胞をさらに強く刺激・成熟させます。

3. つまり、DATSによる治療のメリットとは?

DATSがこの「免疫原性細胞死」を引き起こすということは、単に薬の毒性でがん細胞を殺すだけでなく、**「患者自身の免疫力を利用して、がんを根絶やしにする手助けをする」**ことを意味します。

  • 相乗効果: DATSでダメージを受けたがん細胞が免疫を刺激するため、もし生き残ったがん細胞があっても、活性化した免疫細胞(キラーT細胞)によって追撃・排除される可能性が高まります。
  • 再発予防: 一度免疫系がそのがん細胞の特徴を覚えれば、将来的な再発や転移を防ぐ効果(免疫記憶)も期待できます。

まとめ

DATSは、がん細胞をただ殺すだけでなく、「がん細胞の死に顔」を「免疫系を怒らせる形」に変えることで、体全体の抗がん免疫力をブーストさせる働きがある、というのがこのメカニズムの核心です。


書籍:植物由来治療薬-第3巻ねぎ(ニンニク)|ジアリルトリスルフィド
ジアリルトリスルフィド(DATS)に関する記述の要約
ジアリルトリスルフィド(DATS)の抗がん活性が実証されている主な部位
ジアリルトリスルフィド(DATS)の心血管保護作用
ジアリルトリスルフィド(DATS)の免疫原性細胞死について

書籍:植物由来治療薬-第3巻ねぎ(ニンニク)|乳癌
乳癌に関する記述の抜粋
乳癌の予防や治療
前癌状態のヒト乳腺細胞

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